テレビの、世界の、窓

放送局勤務→退職。中国で働いています。ここで感じたことを忘れたくないという気持ちで備忘録として書いています。テレビのこと、メディアのこと、将来のこと。色々♡^ ^

いつかテレビ局のために。

 NHKの『NEXT 未来のために「最後まで向き合う~元電機メーカー・技術者の覚悟~』を観ました。

 

 

 『人工知能を持つロボット=AIBO・アイボ。99年の発売以来、多くの人たちが会話ができダンスを踊れるアイボをペットのようにかわいがってきた。ところが去年、修理サポートが終了。メーカーの元技術者たちが立ち上げた修理会社に故障したアイボが次々と運び込まれるようになった。「製品には最後まで責任を持つ」をモットーに修理に取り組む技術者たち。交換する部品がないなど苦戦が続く中、ユーザーのために奮闘する姿を追う』

nhk.jp

 

 これを観ていて私事ながら、「情報で人を繋げたい」「まだ知られていないことを伝える仕事がしたい」と改めて思いました。

 

 まず、アイボというロボットに対して、こんなに思い入れのある人たちがいるなんて知らなかったという驚きがあります。(99年に発売して、もはやロボットではなく、愛情あるものとして接している持ち主たちを観て、将来家庭用ロボットと共存する時代が当たり前に来たら、こんな風になるのかなと思いました)。

まるでドラえもんの世界。

 

 そして、ソニーの創業者 井深大が述べた言葉。

「一旦手掛けたるセットは最後までその責任を持ち、いかなる煩雑なる 要求に対しても快く応ずる精神的態度は、わがサービス部の本質となるものである」。

この企業理念に沿って、早期退職した元ソニーの社員が起業し修理停止となったアイボの修理にあたっているとのことです。

その修理を担当するのが、全国にいるエンジニアたち。

 

 元アイボの修理で派遣社員として働いていた男性が番組に出演されていました。

「生活が一番。この仕事では食べてはいけないと思っている」と述べていたものの、

最終的には仕事を続けることにしたとのこと。

ソニーの社員は最後にインタビューでこんなことを仰っていました。

 

「電卓だけをたたいていたら希薄な企業になってしまう」。

 

 残すべきもの、そしてそれに取り組んでくれて働いてくださっている方たちの生活が十分保障されているものであるように。そんな「バランスのとれたビジネス」が成立したらいいなと思いました。

 

 

 「そんなこともあったんだ!」そんな新発見や「こんな問題があるんだな」と番組を通じて知るとやはり私は伝える仕事がしたいな、と再確認します。

ただ、伝える手段はたくさんあるもの。

新聞、雑誌、テレビ。

中でも私がテレビ局の就職、テレビ局での記者にこだわったのは「音や映像、編集といったものを駆使して五感に働きかけるテレビが一番人の心を動かす」と思っていたから。

そして、人は結局感情で行動する、と思っているから。

 

 

でも、もうインターネットで誰もが動画を編集して伝えられる状況になりました。

そんな中でテレビ局はどう生き残っていくのか。

それは「取材するプロ」「伝えるプロ」「情報を精査、分析するプロ」そして、「どんな情報を広く伝えるべきか理解しているプロ」そこに戻るしかないと思っています。

 

 今回のオリンピックエンブレムでネットが炎上し、佐野さんの家族やメールアドレスが公開されてしまっています。

以前、報道部にいた同期が「記者になって一番こわいのが自分が間違って伝えてしまった情報で誰かが傷つき、最悪、自殺まで陥ってしまうかもしれないこと」と言っていました。

 

 ネットは自由の世界。そこは自由にほったらかしにしておいてほしい、それが人の知る権利だから。

だけど、ジャーナリズムが崩壊したら

何が本当かを調査する「取材のプロ」がいなくなってしまう。

だから本当のジャーナリストは消えないはず。(新聞記者や通信社の記者は)

 

 テレビ局の記者がもし「中途半端な記者」になってしまったら私は、テレビの報道は存続しないんじゃないかなと思います。

中途半端な記者。数字を分析する能力や、経済等の社会人として最低限知っておかなければならない常識等がないこと、(例え、記者が優秀でもそれを招いてしまうのは十分に取材する時間がない組織体制があること)ーだと思います。

 

だから私は、

伝える技術を早く身につける。

一方でビジネスの知識も身につける。

井の中の蛙にならないように、一度テレビ局を出て海外で働こうと思います。

いつか大好きなテレビ局を支えられるようになりたいな。